2-2 60代から始めるマネー・ライフプラン講座の様子|明治大学
セミナー講師の様子終活・老い支度セミナー(全体像)大学・学校
目次
明治大学で生涯学習講座の講師
明治大学で、自分らしく暮らすために60代から始めるマネー・ライフプラン講座を行ってきました。全5回講座の4回目と5回目が私の担当。主に人生の終盤、エンディングについてです。
生涯学習のため、受講者は一般の方々が約60名ほど。テキストは日本FP協会が発行している小冊子を使用し、遺言書や相続手続き、エンディングノートについて話をしてきました。
何のために遺言書を作成するのか
「我が家は財産なんてたいして無いから」「うちは家族仲がよいから」「いざとなったら皆で話し合って分ければいいんだし」。そう思って遺言書は必要ないと思っている人もいます。
確かに遺言書が無くても大丈夫な家だって多くあります。反対に絶対あったほうがよいという家だってあります。
遺言書は、「遺産をどう分けるか」を決めるものと思っている人もいますが、それだけではありません。それなりに理由があるからこそ遺言書が必要なのです。
もちろん今までの環境、相続人との関係・仲、遺産の数や額などによって違ってきますが、講座で事例を挙げて説明をすると、
- 自分はここに当てはまるかも
- やっぱり作成しておいたほうがモメないかも
- 相続手続きをスムーズに進めるために作成しておこうか
など、作成する意味を理解してもらえます。
もちろん作成するのが目的ではありません。遺言書を作成することによって家族間でもめてしまうことだってあるからです。
自分の意思表示を行うことができるのが遺言書ですが、意思を押し付けるような内容では家族が困ってしまいます。
何のために遺言書を作成するのか、それが一番大事なのです。
自分の死後、何をするのか分かれば今すべきことが見えてくる
相続手続きの前に葬儀を行わなければなりません。この葬儀で困る人も大勢います。地域によって葬儀のあり方が違うので、その地域の風習や慣習で行っていかなければならないため、戸惑ってしまう人もいます。
そして相続手続きのはじめの一歩は遺言書があるかないかチェックです。遺言書がある場合とない場合では手続きが違います。遺言書があっても、遺言書の種類で手続きが違ってきます。
そして同時進行で、相続人を確定するために戸籍謄本を取得したり、財産を調査し一覧表にしたりもしていかなければなりません。何より大変なのは「遺産をどう分けるか」です。遺言書がなければ相続人全員で遺産の分け方を決めなければなりません。
また、期日までに行わなければならないこと--例えば相続放棄、準確定申告、相続税の申告・納付なども行っていかなければなりません。
実際にすべてを行うとなると大変なものです。勝手も分からず何度も役所や銀行に足を運ばなければならなかったり、労力をつかうことも多くあります。途中で挫折して私たち専門家に依頼してくるケース、はじめから専門家任せのケースなどいろいろあります。
自分の死後、どのようなことが起こるのかがわかれば、今何をすべきかが見えてきます。
エンディングノートを作成する目的は何か
認知度が高くなったエンディングノートですが、作成したがためにモメる場合もあります。
「なんとなく作成してみよう」ではなく、「何のために作成するのか」をよく考え、本人も家族も困らないように配慮することが大切です。
エンディングノートは自分の要望を残すノートと思っている人もいますが、それは大間違いです。注意点も知らずに残してしまうと家族が困るだけではなく、家族がもめてしまう場合だってあります。
エンディングノートを作成するかどうかは別として、エンディングノートに書かれている内容(要望に関する質問事項)は、考えておくことは大切です。ただし、それを残す場合には注意点を分かっていなければなりませんが。
各回90分でしたので、多くのお話をすることが出来ませんでしたが、私が担当していない3回も含めて、受講者の方々にとっては、普段聞くことのできない、また考えてみなかったことが話題に上がったのではないかと思います。
これをきっかけに、今後の自分と家族のことを考え、有意義な人生にしてもらえたらうれしいと思います。
2014年12月15日(月)明治大学(東京都)
60代から始めるマネー・ライフプランセミナー5回目担当分