執筆|全国農業新聞「農家の継承」遺言でできない対策は民事信託で
全国農業新聞の農家の継承6 遺言でできない対策は民事信託で
全国農業新聞の連載「農家の継承」。内容は相続や終活に関することです。2020年8月は「遺言でできない対策は民事信託で」を執筆しました。
遺言書ではできない2次相続(父死亡後の母の相続など)の指定や、後見人をつけるのを避けたい場合には、民事信託(家族信託とも呼ばれる)の活用がよい場合があります。
遺言書は、自分の財産をどうしたいのかの指定しかできず、妻死亡後のことまで指定できません。しかし、民事信託ならそれが可能です。
ですが、民事信託の活用は遺言書では難しい場合のみにすべきです。例えば、
- 自分の認知症に備え不動産の管理等を託しておきたい
- 自分の死後、認知症の妻や障がいのある子のために財産管理を行ってほしい
- 夫→妻→夫の親族というように財産を渡したい
- 自分に何かあったときペットを誰かに託したい
などです。
民事信託契約の作成は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士などが行っていますが、報酬は信託する財産の1%程度必要になり、公証役場の手数料も必要です。
また、財産を託せる人は原則身内のため、その身内の負担も考える必要があります。信託できる財産は限られているため、農地は信託できません。信託していない・できない財産は遺産になるため、遺言書と併せて対策する必要があります。
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