相続・終活セミナー講師|明石久美

どこを向いて仕事をしているか

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利益優先のビジネスには違和感がある

先日、ある人からの紹介で、私に会いたいという方とお会いしてきました。自社で作成したエンディングノートを活用したビジネスを展開しているため、このツール(エンディングノート)を使っていろいろな職種や業種の人達を通じて広げていきたいとのこと。

 

お客様のみならず、士業の先生たちにこのエンディングノートを活用するよう紹介してほしいというのです。

 

ところが、エンディングノートや終活の業界に詳しい私は、話を聞いているうちに、なんだか違和感を覚えました。

 

「この方はどこを向いて仕事をしているのだろう」と。

 

士業の先生方がツールを使ってお客様との接点を持つのは、きっかけにもなるし必要なことかもしれません。しかし、そのツールを使ったその先のことまで考えていないのが、なんだか納得いかなかったのです。

何のためにエンディングノートを活用するのか

例えば私が、このツールを使ってお客様に「ここに必要な情報を残しておくといいですよ」とか、「こういう部分が工夫されているので、安心して利用できますよ」とか、「書き方については別途セミナーが開催されますから、そこに行けば書くことができますからね」など、こんな感じで伝えたとします。

 

それで本当に、そのツール(エンディングノート)が活かされるのか、セミナーに出席しないお客様については誰がフォローするのか、書き方セミナーに出席したとしても本当に納得のいくものを残せるのだろうか、これで本人も家族も困らないのだろうかと疑問だらけです。

 

私がこの手のツールを活用する際に一番大事だと思っていることは、「情報などを残す本来の目的をしっかり分かったうえで残す」ということです。

 

本人の意思や要望などを残すことは必要だと思いますが、何でも残せばよいものではありません。家族が困らないように残そうと思っているのなら、家族が困らないような内容を残さなければなりません。残すことでもめてしまうのなら、初めから残さないほうがいい場合もあるのですから。

 

そうだとしたら、大切なのは「書き方」ではなく「残す項目それぞれの注意点」です。そこを抜きにして進めて、最終的に困るのは、情報を残す本人ではなく「家族」なのではないでしょうか。

一緒に仕事をするパートナー選びは大切

仮に、私が紹介した士業のA先生が、お客様に向けてこの情報を残すツールをお渡ししたとしても、そのA先生が、各項目の注意点について理解していなければ、本来は避けたほうがよい情報まで残させてしまったり、間違えた考えを後押ししてしまったりすることがあるかもしれません。

 

だとしたら、A先生がしっかりとサポートできる人にすることも必要になってきます。しかし、その辺りのサポートなどは一切ないということもわかり、話をしていても顧客に目がいっていないことが感じられたため、今回のお話はお断りしました。

 

このツールを使ってビジネスを拡大できる専門家や業者などがいれば助かるだろうし、顧客も情報を残しておけば安心だろうと思ってのツールでしょうし、そのツールを批判するつもりはありません。

 

しかし私にとって、一緒に仕事をする上で「どのような気持ちで行っているのか」、「どこを向いて仕事をしているのか」という意識は、私にはとても大切なのです。

 

 

 

この記事を書いた人

明石久美

講師歴16年。相続専門の行政書士として相続実務も行っており、親族が葬祭業のため供養関係にも詳しいことから、終活や相続に関する一般向けセミナーや企業研修を全国で行っています。 また、テレビやラジオの出演、新聞・雑誌・週刊誌へのコラム執筆や監修、保険・銀行等金融機関や互助会(葬祭)向け教材、著書など多数の実績もあります。  ◆明石行政書士事務所にて『終活・相続・老い支度相談所』 も開設。

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