執筆|全国農業新聞「農家の継承」相続手続きは困ることが多くある
全国農業新聞の農家の継承9 相続手続きは困ることが多くある
全国農業新聞の連載「農家の継承」。内容は相続や終活に関することです。2020年12月は「相続手続きは困ることが多くある」を執筆しました。
相続手続きは期限があるものもあります。また、相続人が認知症だったり手続きしている最中に死亡してしまったりする場合もあるため、早めに済ませる必要があります。
相続手続きで行うこと
相続手続きで最初に行うことは、財産と相続人の確定です。預貯金、不動産、有価証券、借入金、未払金などを調べるとともに、相続人確定のため、本人(被相続人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本を取得する必要があります。
現在の本籍地役場にあるすべての戸籍謄本を取得し、その前にも本籍地があればその役所で同様に取得し、出生時の本籍地までさかのぼって取得します。相続人全員の戸籍謄本も必要です。
最近は、「法定相続情報証明制度」を活用することで、相続人の確定をする戸籍謄本等の束を用紙1枚で代用できるようになりました。相続人の関係図を作成し、相続人確定書類(戸籍謄本等)とともに法務局に持参することで、作成した相続関係図を相続人確定書類の代用として認証してもらえるからです。
手続きに期限があるものもある
次に、相続放棄をする場合は、相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。一部のみの放棄はできず、相続放棄が確定したら取消しもできません。なお、相続放棄しても死亡保険金は受け取れます。
所得税の申告が必要なら4か月以内に準確定申告を、相続税の申告が必要なら10か月以内に行います。もし遺産分割が終わっていない場合は、小規模宅地等の特例(8割減評価)や配偶者の税額軽減(1億6千万円か法定相続分まで無税)などが利用できず、一旦多くの相続税額を納税しなければならない場合もあります。
財産があっても無くても相続手続きは必要になります。相続人が困らないよう、情報を残しておくことが大切です。