相続・終活セミナー講師|明石久美

執筆|全国農業新聞「農家の継承」相続法の改正で相続人が困るケース

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全国農業新聞の農家の継承10  相続法の改正で相続人が困るケース

全国農業新聞の連載「農家の継承」。内容は相続や終活に関することです。2021年1月は「相続法の改正で相続人が困るケース」を執筆しました。

 

相続法が改正されたことにより、相続手続きを早く行わなければ相続人が困る事態になったり、対策をしなかったために困る事態が起こったりするケースが出てきました。

 

そのひとつが「預貯金の仮払い制度」と「遺留分侵害額請求に対する金銭支払い」です。

 

預貯金の仮払い制度

預貯金の仮払い制度とは「預貯金の3分の1に法定相続分をかけた額(1金融機関上限150万円)」が、遺産分割前に単独で引き出せる制度です。

 

ただし、法定相続人の確定が必要なため、被相続人(死亡した人)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本等や、窓口に来た人との関係が分かる戸籍謄本が必要になります。

 

遺言を実行する前や遺産分割前に預金を下ろし使われてしまうと、返却してもらうのが難しい場合があります。一見便利な制度ですが、知らない間に行われて困る場合があることは、知っておかなければなりません。

 

遺留分侵害額請求に対する金銭支払い

今までは、遺留分の請求に対し不動産を共有にするなどができましたが、法改正後は金銭のみでの支払いになりました。

 

例えば、遺言書によって遺留分(相続人に保証されている最低限の相続分で、大抵は法定相続分の半分)が侵害されている場合は、侵害している相手に「遺留分侵害額請求」ができます。ちなみに遺留分の時効は、遺留分の侵害を知った時から1年です。

 

もし遺言書で遺留分を侵害する内容にする場合には、遺言者が、遺留分の請求をされる可能性のある人を受取人にした死亡保険を残すなど、何かしらの対策をしておかなければなりません。

 

遺留分の侵害で金銭の支払いで困る可能性があることは、遺言者も相続人も理解しておかなければなりません。

 

 

210108農家の継承10相続法改正で相続人が困るケース(全国農業新聞)明石久美

 

 

 

 

この記事を書いた人

明石久美

千葉県松戸市在住。セミナー講師歴17年。相続・終活コンサルタント、特定行政書士。相続専門の行政書士として実務も行っており、葬儀や墓など供養業界にも詳しいことから、終活や相続に関する一般向けセミナーや企業研修を全国で行っている。 また、テレビやラジオの出演、新聞・雑誌等へのコラム執筆や監修、銀行や互助会(葬祭)向けの教材、著書など多数ある。   ◆相続相談、遺言書作成、おひとりさま準備、相続手続きは、『 明石行政書士事務所 』 へ

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