執筆|全国農業新聞「農家の継承」おひとりさまが準備したいこと
全国農業新聞の農家の継承8 おひとりさまが準備したいこと
全国農業新聞の連載「農家の継承」。内容は相続や終活に関することです。2020年11月は「おひとりさまが準備したいこと」を執筆しました。
頼れる身内がいない人や子がいない夫婦は、今後自分で行えない出来事に関しての準備や対策をしておきたいものです。配偶者や子なら行えることが、相続人ではない身内や第三者は契約等の依頼がなければ行うことが難しいからです。
頼れる身内がいない場合は、契約などで専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)に依頼しておけば、必要時に実行援助をしてもらえます。
準備しておきたい契約
頼れる身内がいない場合は、次の契約などで準備をしておくと安心です。
- 見守り契約(定期的な連絡や面談)
- 任意代理契約(身体が不自由な場合の財産管理や見守り)
- 任意後見契約(判断力低下時の財産管理や介護施設契約等)
- 死後事務委任契約(葬儀や遺品整理などの手続き)
- 公正証書遺言(遺産の指定)
①見守り契約、②任意代理契約、③任意後見契約は、③任意後見契約に①見守り契約や②任意代理契約をプラスする形での作成になります。認知症になる可能性があるからです。
実行援助の報酬額は作成時に決め、契約書に記載されますが、③任意後見契約を発効(スタート)させる際には、家庭裁判所で任意後見監督人が必ず選ばれるため、もう一人分の報酬(家庭裁判所が決定)が必要になります。
なお、①見守り契約と②任意代理契約の契約発効は、実行援助の依頼をした時からのため、それまでは毎月の報酬はかかりません。契約書の作成料は必要になりますが、結局どの契約も発効せずに終わる場合もあります。
死後の準備は必要な場合に行っておく
生前の不確定な対策には消極的な人もいますが、確実に起こる死後の対策として、④死後事務委任契約と⑤公正証書遺言は準備しておきたいものです。
ただし、甥などが葬儀を行ってくれるなど頼れる人がいる場合は、④死後事務委任契約が不要な場合もあります。
なお、④死後事務委任契約と⑤公正証書遺言をそれぞれ別の専門家に依頼すると、④死後事務委任契約の契約後に多めの預託金を渡さなければならない場合があります。
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